野垂れ死に
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人気ランキング : 19,254位
定価 : ¥ 714
販売元 : 新潮社
発売日 : 2005-04-15 |
価格:¥ 714
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秀行名誉棋聖ご本人にお会いしたことはないが、その知人の方とは親しくしくして頂いている。本にある通り、
酒癖悪く、暴れだしたら誰も止められない。
はっきりいって、評判は悪い。
しかし、私自身は感謝している。彼の素晴しさはタイトルの連覇や打碁の内容であるが、それ以上に、
『秀行塾』
と呼ばれるくるもの拒まずの研究会の主催。または中国や韓国のプロの育成に努めたことである。彼が本気で世界に
目を向けていたからこそ、それによく応えた中国や韓国の人々は当然強くなり、日本のプロを追い越した。プロも
トップアマも強く、旅行や留学などで来日すれば、インストラクターとして迎えられる。
私自身、わずかな時間ではあったが指導碁を打って頂いた。その方、たしか趙依文さんと記憶している。中国の
女性トップアマ。幸せな時間であった。
大昔だったら考えられないことだろうが、これもまた名誉棋聖の財産と感謝している。
現在、日中あるいは日韓関係は好ましくない状況にあるが、囲碁界に限ればそんな事はない。
たとえば韓国最強のプロ、ソウ・クンゲン氏からは、
「日本にしていただいた恩を、私たちは忘れない」
という至極の言葉を、日本人は頂いている。それはやはり、名誉棋聖はじめ先人・先輩方が時間をかけてされてきた
努力の賜物であり、私たち若い世代が受け継がなければならないことである。時間をかけた草の根活動の重さを、改めて
知らされた。
フジサワヒデユキは、酒とバクチだけの男ではない。
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碁をまったく知らない私でも問題なく読めました。
ここまで破天荒な生き方をされて、いろんな経験をしてきた藤沢さんでも
それでも“人生”とは何かがわからないといいます。
この言葉は藤沢さんのような人が口にするからこそ深く重いですね。
私は女なのでついつい奥さんの視点で読んでしまったのですが、
奥さんの懐の大きさには尊敬の念を覚えました。
藤沢さんがここまで無茶な生き方をしてこれたのは、
この奥さんがあるからこそ。
奥さんが書いた本もあるらしいので、そちらもあわせて読んでみたいです。
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安穏としていてもつまんない生き方もあれば
壮絶でも楽しい生き方もありますね。
壮絶な仕事,飲む,打つ,買うの藤沢秀行さんの自伝です。
囲碁に生涯をささげながら,繊細な神経を和らげるための飲む打つ買うが,楽しそうに飄々とあらわされています。
どうしてもレビュアーは人の話を読みながら自分を振り返ってしまいます。
酒は呑んだら呑まれろ。うん,できている。
仕事は四六時中頭の中にある。うん,ある。
ギャンブルはしびれる。うん,しびれる。
天才ギルドの中で頂点を極めた秀行さんまではいかなくても,
プチ秀行はめざせるかも。
そこで奥様
借金まみれの生活の中内職をしていると
「あてつけのつもりか」と暴れられる。
夫は酒乱でいつも大暴れ。
愛人の子供も自分の子と分け隔てなく接する。
損得だったら損だけど,勝ち負けだったら圧倒的な勝ちを収める生涯を過ごす。(秀行さんすっかり手のひらの上で転がされています)
うぎゃー。無理です。プチ奥様は到底目指せません。
なんでそこまで気丈な人間になれるのですか?
続編で奥様のモトさんの回顧録もぜひ読んでみたくなってしまいました。
恨み節なのか,それとも,楽しかったとけろりとしているのか。
大人物なことは間違いないですね。
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私は、藤沢秀行さんも、碁もまったく知らないのですが、
題名に惹かれて買いました。
読ませます。最後まで一気に。
女、博打、酒、病気と破天荒な生き方をされているようですが、
80才になった今もって「分からない」というのが、人生であり、
人間であると喝破されています。達意の人の言うことです。
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借金・女・賭博―藤沢秀行は、訳のわからぬ迷路をさまよっていたが、それをすさまじい人生と見做すのは野次馬であって、囲碁という光の下では、何事もない透明な生活であった。囲碁があれば、人格や市民権などはどうでもよく、というより囲碁の女神のみを仰ぎ見ていたのであり、そこに倫理や人間性を持ち出してもまったく無意味なのである。
盤上を見つめる意識のみが肉体を支えており、そこには女神の微笑があって、それがすべてだった。酒や女にまつわるエピソードは凡人の酒の肴になるが、それはあくまで凡人は秀行の天才とは無縁であることの証明なのだ。地上の論理の幸せや喜びは秀行には馴染めぬものであった。しかし人間は生きており、秀行も生きていて、現実との融和や調和は無理であり、それはどうしようもなく、いわば宿命とでもいうべきものだった。藤沢秀行にとって、解決できるものは何ひとつないのであった。